パウダートピックス
5.フェライトポテンシャル(包晶鋼)
連続鋳造において,包晶鋼の鋳造は大きな課題です.包晶鋼の鋳造について重要なパウダーによる緩冷却化
の前に,フェライトポテンシャルについて説明します.
一般に包晶鋼というのは,Fe-C二元系においては0.10〜0.16%C鋼を指します.しかしながら一般の鋼は多元系ですので必ずしもこれらの炭素濃度範囲
ではありません.
Wolf (M.Wolf and Kurz : Met Trans.Vol.12B 85 (1981) より引用)は,鋼で発生する包晶反応の量の尺度として「フェライトポテンシャル」という用語を導入しました.フェライトポテンシャルは炭素含有量の影響を受けますが,
他の合金元素の影響も受けます.これらの元素のいくつかはフェライト(Cr, W, Mo, Al, Si)を安定化し,他の元素はオーステナイト(Ni, Mn, Co, N, Cu)
を安定化します.低合金鋼の場合,フェライトポテンシャル(FP)は式1で計算できます.ここで,CPは式2で定義されている炭素ポテンシャルです.
Low alloy
CP=(wt%C)+0.04(%Mn)+0.1(%Ni)+0.7(%N)-0.14(%Si)-0.04(%Cr)- 0.1(%Mo)-0.24(%Ti)・・・・・(2)
M.Wolf and Kurz : Met Trans.Vol.12B 85 (1981) より引用 |
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この図からわかるように,包晶鋼は割れやディプレッションが発生しやすいものの, 拘束は起こりにくく,包晶領域を外れると,割れやディプレッションは発生しくくなるものの,拘束が発生しやすくなるので,パウダーの選択は重要になります.